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ロイヤリティ・ファーマ社がロイヤリティー契約を発表したKarXTの真相について考えてみた

先日、2023年3月23日にロイヤリティー・ファーマが「ピュアテック・ヘルス社、最大5億ドルのKarXTロイヤリティ契約を締結」というニュースリリースを発表していました。

ぱっと見、なんのことやらわかりにくいですね。そこで、このリリースについて、どのように解釈すれば良いか深掘りしてみました。

ニュース・リリースの深掘り

このニュースリリースでは、以下3つのことが発表されています。

  1. ロイヤリティー・ファーマは、ピュアテック社が保有するカルナ・セラピューティクス社のKarXTのロイヤリティを取得、ロイヤリティー・ファーマとピュアテックはロイヤリティを共有することに
  2. ピュアテックは、マイルストーン支払いとピュアテックによるサブライセンス収入の20%に加え、カルナ・セラピューティクス社の現在の持分を保持する
  3. ピュアテック社は、2023年末までに5つの臨床段階の候補化合物を開発する予定であり、パイプラインは急速に発展している

このリリースには、ロイヤリティー・ファーマ以外に、ピュアテック社とカルナ・セラピューティクス社という会社が登場しています。

ピュアテック・ヘルス社とは?

まず、ピュアテック社について調べてみました。

ピュアテック社は、ボストンに本社を構える「ピュアテック・ヘルス社」のことで、NASDAQに上場されたバイオテクノロジー企業です。

2015年5月8日にCEOダフネ・ゾハルさんらが設立。2015年6月にはロンドン証券取引所でIPOされています。

CEOのダフネゾハルさん。名門マサチューセッツ工科大学出身で、2003年には35歳未満のイノベーターとして、MITテクノロジーレビュー(同大学が発行する雑誌)に取り上げられたひとり。

創薬、医療技術、および健康に関連する問題の解決に取り組むバイオテクノロジー企業であり、大学や研究機関、医療機関との共同研究に力を入れています。ただし、FDAから承認されたお薬をまだ保有していないため、当然ながら赤字企業です。

NASDAQへの上場は、2020年11月16日です。ティッカーシンボルは、PRTC。株価チャートはこんな感じ。

自己免疫疾患、腫瘍、神経学的障害、消化器系および代謝疾患などの疾患に対する多数のプラットフォーム技術を有しています。また、精神医学やがん治療のための創薬プログラムも進行中です。現在のパイプラインは以下のとおり。

ここでふと疑問に思うのが、ピュアテック社のパイプラインに「カルナ・セラピューティクス社のKarXT」が存在していないということ。

それを解き明かすため、「カルナ・セラピューティクス社のKarXT」について掘り下げましょう。

カルナ・セラピューティクス社とは?

カルナ・セラピューティクス社は、2009年に設立された米国のバイオテクノロジー企業。

ピュアテック社同様、NASDAQに上場されています。ティッカーシンボルは、KRTX。チャートはこんな感じです。3月20日に大陰線が出ていますが、公募増資を発表したことが起因しているようです。

統合失調症に関連する症状、アルツハイマー病(AD)に関連する精神病、各種な形態の疼痛を対処するために一連の治療プログラムを開発しているようです。カルナ・セラピューティクス社が開発中のお薬のうち、承認が間近として期待されているのが、今回のリリースに出てきた「KarXT」です。

KarXT(ザノメリン-トロスピウム)とはどんなお薬なのか?

KarXTは、主に統合失調症およびアルツハイマー病の治療に使用するために開発されているお薬です。

カルナ社によると、KarXTの第三相臨床試験の結果は良好で、有効性、安全性、忍容性ともに肯定的なトップライン結果になったことを2023年3月20日に発表しています。

新薬申請は2023年半ばに実施予定で、承認されれば2024年後半に発売が開始されるとしています。

KarXT(ザノメリン-トロスピウム)の特徴は、ドーパミンやセロトニンに依存しないため、既存治療薬と比べ副作用が少なく(既存薬は重篤な副作用がある)、より安全な治療法を実現する可能性があることが期待されています。「承認されれば、深刻な精神疾患を持つ何百万人もの人々の生活に有益な影響を与える可能性がある」のです。

総合失調症は、かつて「精神分裂病」や「早発性痴呆」などと言われた病です。現実感覚、認識、感情、思考、判断、行動など、多様な精神機能に深刻な障害が見られ、主に思春期後半や若年成人期に発症し、徐々に症状が進行します。症状には幻覚や妄想、混乱、言語障害、無感情、社会的孤立、自己放棄などがあります。原因は明確には分かっておらず、治療には抗精神病薬や認知行動療法などが用いられます。

ちなみに、カルナ社は、2020年にの抗精神病薬KarXTの共同開発と、市場での販売を目的とするロイヤリティ契約をイーライリリー社と締結しています。

イーライリリー社がアルツハイマー治療薬「ドナネマブ(Donanemab)」を開発中であることは周知の事実ですが、このKarXT開発の狙いもアルツハイマー治療薬を視野に入れて開発されていることがわかります。

カルナ社の狙いとしては、まずは総合失調症治療薬としてFDAの承認を得て、その後、アルツハイマー薬承認によりホームランをかっ飛ばす…そんなプランを抱えているのではないでしょうか。

管理人
管理人

承認されれば多額の資金を生み出すことが容易に想像できますし、アルツハイマー薬開発に失敗したロシュのロイヤリティー収益に失敗したロイヤリティー・ファーマの狙いもうかがい知ることができますよね。

カルナ・セラピューティクス社とピュアテック・ヘルス社の関係とは?

ではなぜ、ピュアテック社がカルナ社の抗精神病薬KarXTのロイヤリティーを保有しているのでしょうか?

実は、ピュアテック社は、カルナ社の創設に深く関わっており、カルナ社の主要な創設者の1人であるアンドリューミラー博士は、ピュアテックの創業者の1人であるというわけです。

KarXTの技術プラットフォームも、ピュアテック社が開発したもの。そのため、ピュアテックはカルナ社の一部分を所有しており、KarXTの開発に対するロイヤリティ権益を獲得しているのです。

管理人
管理人

ここで、PureTechとつながりましたね!

まとめ

ここからは私の想像になりますが、ロイヤリティー・ファーマの狙いは、たぶん以下のようなストーリーなのでしょう。

PureTech Health社は、将来、アルツハイマー治療薬に化ける可能性がある「KarXT」の開発に多額の資金を調達する必要があった。そこに目を付けたのがロイヤリティー・ファーマ社。

しかし、ロイヤリティー・ファーマにすれば、ロシュ社のアルツハイマー薬の開発がおじゃんになっており痛い目に遭っている…。リスクは大きい。

しかし、よく考えてみれば「KarXT」については、総合失調症治療薬として第三相臨床試験の結果が極めて良好でありFDAから承認される可能性が大きい。リスクヘッジができて、しかもアルツハイマー治療薬としてのロイヤリティーも保有できるチャンス!

そんじゃ、ピュアテックに資金提供行ってみようか〜。

管理人
管理人

ま、そんな感じでしょう!

昨今は、低成長を嫌気されて投資家からそっぽを向かれているロイヤリティー・ファーマ。この契約が将来、株価爆騰につながってくれると良いのですが…。さてどうなりますか。

コメント

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