こんにちは。酒とロック(@saketorocks)です。
急成長株として注目を集めるハーモニーバイオサイエンシズ(HRMY)について調べたことをメモしています。
IBDで注目されている成長株ではありますが、まだ日本ではあまり知られていないからこそ、今から種まきする価値があるかもしれません。興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
ハーモニー・バイオサイエンシズ(HRMY)のパイプライン
ハーモニー社のパイプラインは以下のとおりです(2022年12月時点)。
病名 | 商品名 | 成分名 | フェーズ | 備考 |
成人ナルコレプシー EDS (不眠症および日中の過度の眠気) |
WAKIX | Pitolisant | 上市 | |
成人ナルコレプシーにおけるカタプレキシー (情動脱力発作) |
WAKIX | Pitolisant | 上市 | |
小児性ナルコレプシー | Pitolisant | Phase3 | 2023年1Q EMA承認待ち | |
特発性過眠症 | Pitolisant | Phase3 | 2022年2Q に第三相臨床試験開始 | |
プラダーウィリー症候群 (PWS) |
Pitolisant | Phase2 | 2022年4Qにトップラインデータ発表予定 | |
筋緊張性ジストフィ(DM) | Pitolisant | Phase2 | 2023年にトップラインデータ発表予定 | |
プラダーウィリー症候群 | HBS-102 | 研究段階 |
ハーモニー(HRMY)について
2017年5月にデラウェア州で設立。希少神経疾患患者およびアンメット・メディカル・ニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズのこと)がある他の神経疾患患者のために革新的治療法の開発、商業化に焦点を当てています。
あのIBDが注目するバイオ成長株のひとつです。
IPOは2020年8月。IPOするバイオテクノロジー企業が良い会社である場合、必ずモルガンスタンレー、JPモルガン、ゴールドマンサックスが主幹事として割り込んできますが、ハーモニーのIPOに関してはゴールドマンサックスが主幹事を務めています。
ちなみにIPO当時、じっちゃまから注目されることはなかったはず。同時期に毛並み抜群のロイヤリティーファーマ(RPRX)がIPOしていましたので無理もありません。
ハーモニーの最高責任者は、John Jacobs氏。ハーモニー創立前は、テバファーマシューティカルズで呼吸器事業部門の上席副社長兼GMで活躍し、その前はファイザーやセファロンなどの大手製薬会社に在籍した経歴があるようです。
テバファーマシューティカルズやセファロンはハーモニー社の主力であるナルコレプシー治療薬「ピトリサント(商品名:WAKIX)」の競合薬を上市した製薬会社でもあります。
John Jacobs氏はナルコレプシー治療薬市場に知見があり、その経歴からピトリサント(WAKIX)の成長性を見抜いていたのかもしれません。
ハーモニー・バイオサイエンシズの研究開発および薬事管理の責任者はJeffrey M. Dayno氏。神経科医として10年の臨床・学術経験があり、その後メルク、セファロン(また出ましたね!)などで活躍。NDA承認および製品上市の成功に向けたメディカルサポートに従事した経験の持ち主です。
ハーモニーが成長株として注目される理由
2017年9月にフランスの製薬会社Bioprojet社からナルコレプシーの新薬「ピトリサント(商品名:WAKIX)」の開発、製造、商業化に関する米国の独占ライセンスを取得。
2019年8月にFDAから承認されて以降、売上を伸ばし黒字化。エリート成長株のIBD 50リストで第11位にランクインしています。
ハーモニーの主力商品「WAKIX(ピトリサント)」の特徴
- FDAが承認した唯一のH3受容体拮抗薬
- ナルコレプシーに対して初、しかも唯一のFDA承認非スケジュール型治療薬
- 覚せい剤ではない (薬物耐性や禁断症状の証拠はない)
- 他のナルコレプシー治療薬(モダフィニル、オキシベートナトリウム<競合薬のXywav>)との併用投与が可能
- 1日1回、朝の目覚めとともに経口投与できるので手軽
独占権の有効期限:2027年10月13日
承認内容:ナルコレプシー成人患者における「日中の眠気(EDS)」と「脱力発作」の治療における独占権
従来のナルコレプシーの治療薬は、効能、受容性、投与の観点において、患者さんが十分に満足できるものではありません。というのも、ナルコレプシー治療薬には、規制薬物が多く、依存リスクがあるためです。
しかし「WAKIX(ピトリサント)」は、依存症(中毒)になるうる兆候がなく、安全性が高いことで使用する患者が増えています。
他のお薬とも併用でき、規制薬物ではない最初で唯一の医薬品です。なお、2022年11月現在、ピトリサントの承認状況は欧州と米国では少し違っています。詳細は以下のとおり。
承認内容 | 欧州 | 米国 |
カタプレキシー(脱力発作)を伴う、又は伴わないナルコレプシー | 2016年承認 | 2020年承認 |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者における覚醒状態の改善及び日中の過度の眠気の減少 | 2021年承認 | |
ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気(EDS) | 2019年承認 |
2016年承認:カタプレキシー(情動脱力発作)を伴う、又は伴わないナルコレプシー」を効能・効果として
2021年承認:「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者における覚醒状態の改善及び日中の過度の眠気の減少」を追加の効能・効果として
2019年承認:「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」を効能・効果として
2020年承認:「ナルコレプシーに伴うカタプレキシー(情動脱力発作)」を追加の効能・効果として
※カタプレキシーは感情の高ぶりによって筋力が抜けてしまう発作
WAKIXは、米国睡眠医学会臨床診療ガイドラインにおいても、ナルコレプシー治療薬として強い推薦が得られています。
介入 | 推薦の強さ | 臨床的に有意な改善を示す重大な結果* | |||
---|---|---|---|---|---|
日中の過度の眠気 | 脱力発作 | 疾患の重症度 | 生活の質 | ||
ナルコレプシー | |||||
モダフィニル | 強い | ✓ | ✓ | ✓ | |
ピトリサント(WAKIX) | 強い | ✓ | ✓ | ✓ | |
オキシベートナトリウム | 強い | ✓ | ✓ | ✓ | |
ソリアムフェトール | 強い | ✓ | ✓ | ✓ | |
アルモダフィニル | 条件付き | ✓ | ✓ | ||
デキストロアンフェタミン | 条件付き | ✓ | ✓ | ||
メチルフェニデート | 条件付き | ✓ |
ナルコレプシーについて
ナルコレプシーについてとその市場についてまとめておきます。
ハーモニーの成長を予想するには、ナルコレプシーについて熟知する必要があります。
ナルコレプシーとはどんな病気か?
ナルコレプシーは過眠症のひとつで、突然強い眠気が襲い、眠り込んでしまう病気です。
以下の動画を観るとどんな病気であるかよくわかります
症状の典型例としては、起きているときに突然筋力が低下してぐったりしたり、動けなくなったり(カタプレキシー)、夢のような映像や幻覚を見たり、眠る直前や目が覚めたときに全身がまひしたり(睡眠時まひ)するなどの症状が現れることがあります。
症状 | 特徴 |
---|---|
睡眠発作 (EDS) |
昼間、何度も強い眠気が出現して、居眠りをする症状。もっとっも顕著な症状。 |
情動脱力発作 (カタプレキシー) |
感情の変化(笑い、怒りなど)によって、急に起こる脱力発作。 |
入眠時幻覚 | 寝入りについてすぐに恐怖感のある鮮明な夢を見ます。 |
睡眠麻痺 | 幻覚の症状と一致して、体が動かなくなる金縛りの症状です。 |
症状は多くの場合、小児期、思春期、若年期(7~25歳)に始まります。米国では、13.5~20万人がナルコレプシーを発症していると推定されています。病気であることに気がつかない場合や、そもそも診断されないことが多いため、潜在数はもっと多いと考えられています。
ハーモニー社のIR資料によると、全米の患者数は16.5万人(これは先述した推定発症数の平均値)。このうちの56%の9.3万人がナルコレプシーであるにもかかわらず、未治療かつ未診断になります。4.4万人が診断と治療を受けていますが、その割合は全体の24.2%。診断されたものの治療に至っていない人達は16.9%占めています。
ナルコレプシーと診断されまだ治療していない38.8%の患者さんは、WAKIXユーザーの顕在層であり、ここへのアプローチが進めば、さらなる成長が期待できるというわけです。
WAKIXは、2022年11月現在、小児患者 (18 歳未満) での使用は承認されていません。18歳未満にも承認に向けて動いています。承認されれば、さらなる成長率が期待できます。
ナルコレプシー治療薬の市場(NARCOLEPSY DRUG MARKET)について
ナルコレプシー治療薬の世界市場規模は、2020年に16億8,060万米ドル以上に成長したとレポートされています(出典元:reportocean)。
世界ナルコレプシー薬市場は、2021 年から 2027 年までの予測期間中に 8.6% を超える複合年間成長率 (CAGR) で成長すると予測されている。
世界のナルコレプシー治療薬市場は、2021年に28億4,000万米ドルの規模に達しました。2022年から2027年にかけて、市場は7.70%のCAGRで成長し、2027年には45億米ドル規模に達すると予想されています。
ナルコレプシーの治療とお薬
現在のところ、ナルコレプシーに根本的な治療法はありません。適切な投薬と時間の経過とともに、ライフスタイルを変えることで症状が減少しますが、病気そのものは生涯続くと考えられています。
お薬を飲み続けなければならない…。ということは、シェアを獲得すれば、売上高の成長は加速していくとも言えます。
ナルコレプシー治療薬の第一選択薬は?
ナルコレプシーの第一選択薬は、国際的には副作用が少ないモダフィニルが用いられているようです。日本では商品名モディオダール、アメリカではプロビジルでの名前で販売。メチルフェニデート(リタリン)やペモリン(ベタナミン)といった伝統的な中枢刺激剤とは異なりドーパミン系の賦活化作用は弱いと考えられているからです。
現時点では、アメリカではJAZZの新薬「XYWAV(ザイウェーブ)」というお薬が売上を上げています。モダフィニルよりザイウェーブの動向をチェックする必要があるかと思います。
ナルコレプシー治療薬の大半は、眠気を覚ます覚醒剤。これを飲むわけですからリスクが高いのは当然です。
ナルコレプシー治療薬の大半は、規制薬物です。米国の規制薬物には、そのリスクの高さに応じて、スケジュールI〜Vまで区分されています。「I」になればなるほど危険度が高く、スケジュールIのお薬はあらゆる状況においても使用する事を禁止されています。
「WAKIX(ピトリサント)」が規制薬物ではない唯一の新薬です。依存症リスク・乱用リスクを考えれば、いかに重要な立ち位置にいるかがわかります。
患者は若年層に多いことを考えると、親が子供に危険な薬を使用するのはためらうはず。このことからも、WAKIXが治療薬として希望をもたらすのかもしれません。
WAKIXの競合薬の特許期限について
WAKIX、およびWAKIXと競合となる主な医薬品とそれぞれのライセンス期限は、以下のとおりです。
商品名 | 薬品名 | 製薬会社 | ライセンス期限 | スケジュール | 備考 |
Wakix(ピトリサント) | ヒスタミン3受容体拮抗薬/インバースアゴニスト | ハーモニー(米)、バイオプロジェクト(仏) | 2027 | なし | ピトリサント(WAKIXのこと)は、ナルコレプシーの成人患者における日中の過度の眠気またはカタプレキシーの治療のための唯一の非規制薬品製品として、最近FDAにより承認されました。脳内のヒスタミン濃度を上昇させると考えられています。1日1回、朝起床後に経口投与されます。米国では2019年から市販。成人の5%以上に発現した主な副作用は、不眠、吐き気、不安。バイオプロジェクト(フランス):薬品名「ピトリサント」を開発。2013年に論文発表し、ハーモニー社は米国の独占ライセンスを取得している。 |
Xyrem | γ-ヒドロキシ酪酸(オキシベートナトリウム) |
ジャズファーマ | 2026 | III | 強力な鎮静剤であり、1日2回の服用が必要。 麻酔薬としても用いられる。安全性懸念のため、流通は厳しく制限されている。 |
Xywav | γ-ヒドロキシ酪酸(オキシベートナトリウム、オキシベートカルシウムなど) | ジャズファーマ | 2028 | III | Xyremの低ナトリウム代替品。JAZZは現在、こちらの販売にシフトしている。Xyremの高ナトリウム含有量が心臓病に寄与する可能性があるという懸念を受けて、2020 年に承認された。 |
Sunosi | ソリアムフェトール | ジャズファーマ | 2022.10 | IV | |
Provigil | モダフィニル | セファロン(テヴァファーマ) | 失効 | IV | 治療に用いられるのが、通常、モダフィニルのような中枢神経刺激剤。 従来の覚せい剤に比べて依存性が低く、副作用も少ない。 ほとんどの人にとって、これらの薬は日中の眠気を軽減し、覚醒度を向上させるのに一般的に効果的とされます。Cephalon社が武田薬品工業と業務提携を図るが打ち切り。その後、Cephalon社は、テバに買収されています。このお薬には、数多くの後発品が存在しています。 |
Nuvigil | アルモダフィニル | セファロン | 失効 | IV | アンフェタミンよりも副作用が少ないが、インポテンス、高血圧、心拍不整脈など副作用がある。スケジュール区分はIV。インドの製薬会社オーロビンド ファーマ(INR)もパッケージャー。 |
Ritalin | メチルフェニデート | ノバルティスファーマ | 失効 | II | ADHDの治療にも用いられる。興奮剤の一種。リンタンの効能を長くした「コンサータ錠」も知られている。安易な処方や不適切な服用による依存症が問題となり、その取り扱いは厳しい制限が設けられている。 |
Adderall | アンフェタミン塩 | 武田薬品USA、テバ | 失効 | II | モダフィニルが有効でない場合、医師はEDSを緩和するためにメチルフェニデートなどのアンフェタミン様覚せい剤を処方することがあります。過敏症や神経質、震え、心拍数の乱れ、夜間の睡眠障害などの副作用があるため、注意が必要。乱用につながる可能性が高い。ADHDの治療薬にコンサータ(ヤンセンファーマ)、 RITALIN (ノバルティス)、 METHYLIN (塩野義製薬)、 RELEXXII (バーティカル)等の他に、後発品も多数あり。 |
ジャズファーマ(ティッカーシンボル:JAZZ)の「Xyrem(ザイレム、薬品名:オキシベートナトリウム)」、Xyremの改良薬である「ザイウェーブ」、セファロンの「Provigil(プロビジル 薬品名:モダフィニル)」と「Nuvigil(ヌビジル 薬品名:アルモダフィニル)」、ノバルティスファーマの「Ritalin(リタリン 薬品名:メチルフェニデート)」、武田薬品USA、テバのAdderall(アデロール 薬品名:アンフェタミン塩)」、ジャズファーマ(ティッカーシンボル:JAZZ)の「Sunosi (スノーシ 薬品名:ソリアムフェトール)」などがあります。
このほかにも後発薬品や使用するにはリスクが高いお薬がありますが、競合になりえないため、ここでは省略ています。
治療薬の副作用が問題のひとつ
お薬を飲み続けなければならないのですが、ナルコレプシー治療薬は依存性が高いものが多いことで知られています。
ラッシュ大学医療センターで行われた治療中のナルコレプシー患者97名のレトロスペクティブ電子カルテレビューによると、患者の93%が従来の治療薬に不安を抱えています。副作用があることがその理由のひとつ。
従来薬での治療のうち、75%が副作用におより通常生活に支障が出ているそうです。患者の94%が新薬が必要だと考えており、副作用が少ない新薬が待ち望まれている状況下にあることがわかります。
この点、WAKIXは規制薬品ではない唯一のお薬です。患者さんが従来飲んでいたお薬との併用も可能ですし、副作用が心配であれば、従来飲んでいたお薬をやめてWAKIXに乗り換えるという選択肢も増えます。
この点、私はWAKIXの成長性に可能性を感じています。ただし、2022年11月現在、小児患者 (18 歳未満) での使用は承認されていません。もし承認されれば、さらなる大きな売上高成長率が期待できそうです。
WAKIXの競合薬「Xywav」とパイプライン
WAKIXの競合薬と臨床試験状況を比べてみました。ナルコレプシー治療市場を席巻しているのが、ジャズファーマのXywavです。
WAKIXはXywavの市場にどこまで食い込んでいけるかが焦点だと思います。
そこで、XywavとWAKIX、さらにはWAKIXの大元となるピトリサントの承認範囲、臨床試験状況などを以下のとおり表にしてみました。
対象症状 | 症状 | 年齢 | Xywav | wakix | Pitolisant |
ナルコレプシー
|
日中の過度の眠気(EDS)
|
7歳以上 | ◯ 米国独占特許2027年 |
||
18歳以上 | ◯ 米国独占特許2027年 |
◯ 米国独占特許2026年 |
◯ | ||
カタプレキシー(脱力発作)
|
7歳以上 | 小児用医薬品承認申請書(PWR)を提出 | 届出中 EMA decision 1Q2023 |
||
18歳以上 | ◯ 米国独占特許2027年 |
◯ | |||
特発性過眠症(IH)
米国患者約37,000人 うち約1,450名がxywav利用 |
7歳以上 | ◯ | phase3 Trial initiated 2Q2022 |
||
18歳以上 | ◯ 米国独占特許2028年 |
||||
プラダー・ウィリー症候群 | 日中の過度の眠気(EDS) | 6歳から65歳 | phase2 Top line data 4Q2022 |
||
筋強直性ジストロフィー(DM) | phase2 Top line data 2023 |
ハーモニーの戦略フェーズ
次はハーモニー社のIR資料から彼らの成長戦略をまとめてみました。まず、彼らは今後の戦略を次の3つを柱にしていくとしています。
- ナルコレプシーにおけるWAKIXの継続的なパフォーマンス
- WAKIXの有用性をナルコレプシー以外にも拡大
- WAKIX以外の新規アセット取得によるポートフォリオの拡充
上記戦略のうち注目したいのは、2と3。
ハーモニー社は2022年現在、お薬の臨床試験を4つ行っています。
- プラダーウィリー症候群を対象とした第2相POC試験(TLデータ発表済)
- 筋緊張性ジストロフィーを対象とした第 2 相 POC 試験(TL データは 2023 年予定)
- 特発性過眠症を対象とした第 3 相登録試験(TL データは 2023 年予定
特発性過眠症を対象としたフェーズ3登録試験(INTUNE試験) - 小児ナルコレプシーを対象としたフェーズ3試験(Bioprojet社終了、EMAに申請中)
ハーモニー・バイオサイエンシズの財務状況
まずは、年次決算書からDPS、EPS、CFPS、SPSをグラフ化して、財務状況を大まかにつかみました。
2019年、2020年あたりをみると、まだまだ投資できる状況ではなかったと思いますが、2021年はEPS<CFPS<SPSと綺麗なグラフを形成。成長軌道にちゃんと乗れたのが読み取れます。
そのほかのデータは上図のとおり。売上、利益は右肩上がりで今後の成長に期待ができそう。ただ、内部留保額がマイナスになっているのが少し気になりました。
少しずつ投資しながら、ハーモニー社の可能性に期待したいところです。
ハーモニーに関するメモ
2023/03/29:FDA承認薬に取り下げ要求が…。株価約20%下落
空売りのスコーピオン・キャピタルが、食品医薬品局(FDA)にハーモニー社のナルコレプシー治療薬Wakixの承認撤回を求める市民請願を提出する予定だと述べたため、大幅下落。
以下がスコーピオン・キャピタルが発表したレポートとなります。
https://scorpionreports.s3.us-east-2.amazonaws.com/HRMY1.pdf
レポートには、ハーモニー社を猛烈に批判する内容となっていました。まるで脅迫文のようです。
✅最近のAduhelm(アルツハイマー治療薬)の失敗や、Harmonyの創設者Jeff Aroninによる以前の策略に対する議会の怒りを考えると、犯罪や政治の監視に値する、近年で最も徹底的に腐敗した医療スキームの1つである。
✅Harmony社の薬剤Wakix(pitolisant)は、FDAが市場から引き上げた別のヒスタミン拮抗薬であるSeldane(terfenadine)の悲劇を繰り返すもので、致命的なQT延長/不整脈による心毒性の申し子である。Wakixはもっとひどい。
✅私たちは、数ヶ月に及ぶ情報公開請求により、FDAから数十件の重篤な有害事象報告書を入手しましたが、そこには、ワキックスを最高用量に漸増した日から2週間後に心臓突然死が発生するなど、若くて健康な患者であっても、この薬剤のリスクが壊滅的に描かれています。
✅また、ある医師から、健康な42歳の患者がワキックスの投与開始直後に救急搬送され、医師が薬剤性不整脈と指摘したため入院したという、報告されていない最近の有害事象について注意を促された。
✅私たちは、海外の臨床試験において、心臓リスクの除外基準にもかかわらず、すべて薬剤群で、プラセボでは1人も死亡した12人の死亡例を詳述します
✅私たちは、2019年の承認を妨げる爆発的な情報がFDAから隠されていたと考えています
✅早まったと述べた「成功」主要試験に関与した個人から私たちに提供された、 世界最大手の製薬会社3社の同一のH3拮抗薬/逆作用薬プログラムに携わる科学者が、類似薬開発のために終了した努力の一環として、独自の合成と分析に基づき、ピトリサントの毒性およびその他の致命的欠陥を裏付ける詳細な情報とデータを提供してくれたのである。
会社側はこの空売りレポートに同意できないとして反論しています。また、空売り筋のレポートは誇大な報告であることがあるため、真相はわかりません。短期的に株価下落圧力が高まりそう…。一旦、退散します!
2023/02/22:第4四半期決算 EPS、売上高ともにOK
Q4 FY22
EPS 予想$0.579 vs $0.79 ⭕️
売上高 予想$127.662M vs $128.308M ⭕️ YoY +40.7%
✅ WAKIXの患者数が4,900人に増加
✅ IHの成人患者を対象とした第三相登録試験で患者登録数が増えている
✅ プラダー・ウィリー症候群 (PWS) の第二相臨床試験結果のFDAの判断待ち。当社は第三相臨床試験に進めると踏んでいる。
✅ ナルコレプシーの小児適応については欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)から肯定的意見を受理。2023 年 3月下旬までにEMAから承認されるかも。
✅ 小児ナルコレプシー独占権を取得するため、FDAに申請準備中
Q&Aセッション抜粋
ガイダンスはどう考えてるの?
ファンダメンタルは良好だと考えてます。WAKIXは今後何年にもわたって成長する力を与えてくれますよ。
ジェフリーCEOのポジションは暫定的なの?
取締役会の決定事項なんで、なんとも…。今は目の前のビジネスに集中するだけっす。
この先、勃起促進薬のような製品が利用可能になる可能性ある?
新しい資産の開発に注視してまして、ご承知のとおりこの分野の次の新しいターゲットですよ。ワキックスは、単独療法としても将来的に他の治療法と併用することも可能だと考えています。
次回の第1四半期の決算では、季節的要因でネガティブな影響ある?
慢性的な患者さんの投薬が前年比でリセットされるので逆風が吹くかも。アメリカ人の4人に1人は毎年保険を変えるので、再認可のために事務作業が発生するんですよね。ただ、これは前から感じていたことで、2月になると、第1四半期から第2四半期につながる非常に強い3月が始まるのが通例です。第1四半期の季節性を考慮しても前年同期比で増収となり、ワキックスの平均患者数も第1四半期に引き続き増加すると予想しています。
2023/01/07:CEO突如後退
ジョン・C・ジェイコブス社長兼最高経営責任者が辞任を発表。NOVAVAXのCEOに就任するという自体に!代わりにジェフリー・M・デイノ、MD、ハーモニーのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高医療責任者が暫定CEOに就任するというが…どうなることやら。
2022/06/25:エリート成長株のIBD 50リストで第11位にランク
ハーモニー・バイオサイエンシズは、ピトリサントという単一の製品で名を馳せている。同社は、この薬を “製品機会のポートフォリオ “と考えている。
現在、ピトリサントはワキックスという名のナルコレプシー治療薬として承認されています。しかし、ハーモニー社は、特発性過眠症と呼ばれる睡眠障害、プラダー・ウィリー症候群と呼ばれる遺伝性疾患、筋力低下疾患である筋緊張性ジストロフィーなど、他の疾患についてもピトリサントの研究を進めている。
また、ハーモニー社はプラダー・ウィリー症候群の初期段階の製品も試験しています。プラダー・ウィリー症候群は、行動や知能に多くの問題を引き起こします。また、身長が低くなることもあります。
このバイオテクノロジー株は、テックリーダーでもあり、エリート成長株のIBD 50リストで第11位にランクされている。
Harmony株は、52.62の買いポイントを持つカップ・ウィズ・ハンドル・ベースから抜け出し、現在50日線の上にある。株価は、97の強力な総合評価とそれに見合うRS評価を持っています。
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