クアルコムとエッジコンピューティング
コンピュータやスマホで何かを調べたりゲームをするとき、そのデータは遠くにある「データセンター」という大きなコンピュータ(クラウド)に送られて処理されることがあります。これが「クラウドコンピューティング」です。でも、遠くまでデータを送るには時間がかかるし、インターネットの通信量も増えてしまいます。
エッジコンピューティングでは、この処理をもっと近く、つまりあなたの手元のデバイス(スマホやタブレットなど)や、街の近くにある小さなサーバーで行います。
たとえば…スマホがその場で写真を整理したり、渋滞情報をリアルタイムで計算することによって、データを遠くまで送る必要が減り、処理が早くなります。
クアルコムのチップと特徴
クアルコムの代表的なチップシリーズは、スマートフォンやエッジデバイスでよく使われる Snapdragon(スナップドラゴン) シリーズです。このシリーズは主に以下の特徴を持っています:
少ない電力で高性能
クアルコムは、電力消費を抑えるための「異種プロセッサ構造(Heterogeneous Computing Architecture)」を採用しています。例:1つのチップ内に、処理が速い「高性能コア」と、軽い作業に使う「省電力コア」を組み合わせています。これにより、動画視聴のような軽い作業では省電力コアが動き、ゲームのような重い作業では高性能コアが働く仕組みです。
スナップドラゴンチップの多くには、専用の AIエンジン(Qualcomm AI Engine) も組み込まれています。このエンジンは、AI処理を効率化し、余分な電力を使わないよう設計されています。
エッジデバイス向けの特化
クアルコムのチップは、スマホだけでなく、以下のエッジデバイスにも使われています:
スマートウォッチやウェアラブルデバイス
Snapdragon Wear シリーズ:小型・低電力で、心拍数や運動データをリアルタイムに処理。
スマートカメラ
Qualcomm Vision Intelligence Platform:エッジでの画像処理やAI分析(顔認識や動体検知)を可能にする。
自動車
Snapdragon Automotive Platform:自動運転や車載エンターテイメントのためのAI処理をサポート。
通信技術との連携
クアルコムは5G通信技術のリーダーでもあります。スナップドラゴンのチップには、最新の5Gモデムが統合されており、高速で低遅延の通信を実現しています。これにより、エッジデバイスがリアルタイムでデータを送受信できるようになっています。
クアルコムの競合他社
Apple(アップル)
- チップ名:Apple Silicon(例:Aシリーズ、Mシリーズ)
- アップルは、iPhoneやiPad向けの Aシリーズ チップや、Mac用の Mシリーズ チップを独自設計しています。
- 特徴:
- 性能が非常に高く、エネルギー効率も優秀。
- ハードウェアとソフトウェアを自社で統合しているため、最適化が進んでいる。
MediaTek(メディアテック)
- チップ名:Dimensity(ディメンシティ)シリーズ
- スマートフォン向けのチップで、ミドルレンジからハイエンドまで幅広いラインナップを展開。
- 特徴:
- コストパフォーマンスに優れたチップを多く提供。
- 最近では5G対応やAI機能の強化にも力を入れている。
- クアルコムと比べ、スマホメーカーにとって価格が魅力的だが、最上位の性能ではやや劣る。
NVIDIA(エヌビディア)
- チップ名:Jetson、Orin
- 主にAIやロボティクス、エッジデバイス向けの高性能チップを提供。
- 特徴:
- AIの処理性能においてはトップクラス。
- 消費電力はやや高めだが、処理が重い用途(自動運転やAI解析)には最適。
Samsung(サムスン)
- チップ名:Exynos(エクシノス)シリーズ
- 主に自社のスマートフォン(Galaxyシリーズ)向けに設計。
- 特徴:
- 性能面ではスナップドラゴンと競合。
- 一部のモデルで消費電力や発熱が課題とされることもある。
- チップ名:Google Tensor
- Pixelシリーズのスマートフォン向けに設計された独自チップ。
- 特徴:
- AI処理に特化しており、Googleサービス(翻訳、写真処理など)との連携が強力。
- 電力効率はクアルコムほど優れていないが、Google独自のソフトウェアとの相性が良い。
まとめ
- クアルコムの強みは、低電力で高性能なエッジデバイス向けチップを幅広く提供していることです。特にスマホ市場ではSnapdragonシリーズが多くのメーカーに採用されています。
- 競合他社には、性能重視のAppleやNVIDIA、コスパ重視のMediaTekなどがいます。
- これからもクアルコムは、5GやAI技術を活かして、エッジコンピューティングやIoT分野でのリーダーシップを維持していくと期待されています。
2021/12/17:急落している理由は…

クアルコム(QCOM)が急落しているのはサンディエゴ地方でアップル(AAPL)がワイヤレス・チップのデザイナーを募集しているという報道があったため。サンディエゴはクアルコムのおひざもとで通信半導体のメッカ。アップルは半導体内製を強化か?

目の覚めるような決算だったのに!ホント、個別株って難しいわ~
2021/12/05:一番手垢がついていない

来年を考え、QCOM、NVDA、AMDなどの半導体銘柄で一つ選ぶとしたら?
- そのへん全滅かもしれないね。
- 強いて言えば、QCOMが一番手垢が付いていない。
- だけどワクワクするかと言われると…
2021/12/03:ガイダンスは上方修正されているから心配にはおよばない

クアルコム決算ベタ褒めしてたけど、Appleやサムスンが自社モデムチップ製造を始めてその穴埋めはできる?ミリ波チップとか。
- ミリ波チップ、いますごく良い感じで出ているというコメントがあった。
- 日本におけるミリ波のデザインウィンが非常に多い。
- 実際にガイダンスが上方修正されているわけだから、Appleやサムスンがモデムチップを内製することを加味しているはず。
- だから、心配に及ばないと思う。良いと思う。
2021/11/18:目の覚めるような決算だった
- オレが「クアルコム、目の覚めるような決算だったよ」と言ったことは、ぜんぜん記憶にないわけ?
2021/11/05:第4四半期(9月期)決算 EPS、売上高、ガイダンスすべてOK 半導体不足の問題はだいぶ改善した
4QFY21
EPS est.$2.26 vs $2.55 🙆 +12.8%
売上高 est.$8.84B vs $9.32B 🙆 +5.4%
YoY +43.4%
1QFY22
EPS est.$2.59 vs $2.9~$3.10 🙆
売上高 est.$9.73B vs $10B~$10.8B 🙆
2021/07/29:EPS、売上高、ガイダンスすべてOK
- クアルコム(ティッカーシンボル:QCOM)の第3四半期(6月期)決算が発表されています。
- EPSは予想$1.68に対し$1.92、売上高は予想75.6億ドルに対し80億ドルでした。
- 第4四半期のEPSは予想$2.07に対し新ガイダンス$2.15~2.35が、売上高予想85.4億ドルに対し新ガイダンス84~92億ドルが提示されました
2020/08/05:決算は問題ない

クアルコム、前回の決算良かったと認識してるけどどう?
- 7/20に決算発表している。
- 第3四半期決算EPS予想71¢に対して86¢。
- 売上高予想48億ドルに対して結果48.9億ドル。
- 売上高成長率前年同期比-0.1%。
- 第4四半期決算EPS予想1.09ドルに対して、1.05~1.25ドル。平均値1.15だから少し上回っている。
- まぁ、良いんじゃないですか?
- その後で一部の証券会社が目標価格を引き上げている。問題なかった。
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