バイナウペイレイター(Buy Now,Pay Later)、通称BNPLとは、「今買って、後で払う」という分割・後払い式の決済手段です。
金利が高いクレカのリボ決済とは違い、BNPLなら、原則、金利や手数料がかからない、クレカも必要ない、与信枠も関係ない…と、消費者にとってはメチャクチャおいしい決済手段です。ヤッホー!
BNPLは、ヨーロッパを中心に拡大しており、現在、米国でも急激にそのムーブメントが波及し始めています。
そのため、BNPLを実装するアファーム、スクエア、ペイパル、その裏方を担うマルケタといったフィンテック企業に、熱視線が注がれています。
これらの企業に投資をする場合、まずBNPLの仕組みについて理解しておく必要があるというわけで、じっちゃまこと広瀬隆雄さんが、youtubeライブで説明してくれましたので、文字起こしをしておきました。
じっちゃまの説明とともに、日本総研の「拡大する Buy Now, Pay Later(BNPL)市場の動向と今後の展望」も一読しておくこともオススメします。
バイナウペイレイター(Buy Now,Pay Later)とは
数万円、数十万円、あるいは100万円など、大きな買い物をするときに、普通クレジットカードでそれを買うことが多いが、与信枠がすぐに圧迫されてしまう。
だから、それ以外の方法で割賦、分割払いができないか…ということが望まれてきた。
それを実現しているのがバイナウペイレイター(Buy Now,Pay Later)というサービス(以下、BNPLと表示)です。
BNPL(Buy Now,Pay Later)展開企業
BNPL(Buy Now,Pay Later)を導入している企業は、米国のアファーム(AFRM)。オーストラリアのアフターペイ。スウェーデンのクラーナなどがありあります。ペイパル(PYPL)、Uplift、ビザ(V)、Quadpay、アメリカンエクスプレス(AXP)などの企業が、BNPL(Buy Now,Pay Later)サービスをオファーしています。
BNPL市場と成長率
BNPL市場については、ヨーロッパそしてオーストラリアは進んでいる。アメリカは遅れている。
例えばヨーロッパでは、2020年のそのネット通販の10%がBNPLによる購入でした。
クラーナという企業があるスウェーデンでは、ネット通販に占めるBNPL比率が23%にも達している。オーストラリアは7%~8%とかそのくらい。
アメリカではネット通販に占めるBNPL比率は2%にすぎず、市場に浸透していない。しかしそのアメリカでも前年比で130%成長を第1四半期にしていた。だから小さなベースから今ものすごく成長し始めている。
ゆくゆくはトータルのペイメントボリュームで6000億ドル市場になるというふうに言われています。かなりでかいその潜在市場を持っているということ。
BNPLの懸念点
法規制がBNPLサービスに追いついていない。いろんなイノベーションが、今、生まれている。ルールがテクノロジーに追いついていない状態になっている。
例えば消費者が支払い遅延をした場合、企業によって対応が違います。クレジットビューロー(個人の支払い実績を記録している機関)への報告義務が、非常に不明瞭です。
クレカの場合は業界横断的に個人の信用情報が共有されています。ある銀行とその支払いの面でトラブルになったら、その記録が保存されて後々まで付いて回る。だから、他の銀行からもお金返してもらえないというふうに、情報の共有がある。それは個人の無謀な借り入れにストップをかけることができるということ。
しかしこのBNPLは、そうした情報の共有がない。あるいは、やってないところもあるけど、やっていないところもある。統一された規格はない。すると、従来のそのクレジットカードから締め出された個人が、BNPLで借りまくるという個人版シャドーバンキングみたいな新しい信用のダークプールができる可能性もあります。
BNPLの信用管理について
BNPLの特徴としては、これまでは個人のクレジットカード単位で、総額どのぐらいお金を借りてるかというトータルベースでのその個人信用の管理しかできなかった。
しかしBNPLは、消費者が買った製品別、例えばペロトーンバイクとか、そういうその商品ごとの購入商品レベルで信用管理ができる。
マーチャンツ、あるいはブランド側からすれば、「他の商品に対する支払い実績なんてどうでもいい。うちの商品を買ってもらったことに関してだけは、きっちり耳は揃えて支払ってもらえばいい」というふうに考えることが多い。
信用の管理が、ブランド、あるいはマーチャンツレベルでできる。闇鍋のように他の案件とチャンポンにされないという点が非常に重要なポイント。
BNPLが普及している理由
マーチャンツにとって、BNPL導入は非常に都合がいい。比較的値段が張る商品を売っている場合、なかなか商品が動かない。すると大幅にそのバーゲンセールでディスカウントして売らなきゃいけない。
その場合、ブランド・イメージを傷つけるし、収益性もその著しく悪化する。値引きすることによって消費者に買いやすくするのではなく、分割で買うときの金利をマーチャンツ側が負担することにより購買促進できる点は、ブランドやマーチャンツ側にとって、非常に魅力的である。それが普及している理由。
BNPLの分割回数について
分割払いは業者によって回数がいろいろ違います。
例えばアファーム。ペロトンバイクの分割払い担当しているが、39回の分割払いができるようになってます。
それに対して、スクエア(SQ)に買収されるオーストラリアのアフターペイの場合は、4回による分割払い。同様に4回だけでの支払いオプションを提示している会社としてはペイパルがあります。
この一択しかない。業者によってその分割払いのルールはいろいろ違う。
BNPL(Buy Now,Pay Later)を展開する銘柄
アファーム(AFRM)
アファームのBNPLに参加しているマーチャンツの数は1.2万社。ショッピファイ(SHOP)ともタイアップしている。これは非常にあの重要な業務提携だと思います。
アファームの場合、消費者が踏み倒したらクレジットビューローに対して報告します。ファイコスコアというクレジットカードスコア(信用スコア)が、悪くなります。
アファームのもう一つの特徴は、トランザクションの30%がマーチャンツのウェブサイトからではなく、アファームのアプリでハイライトされる。「こういう商品がありますよ、こういう商品も分割払いが可能になってます」っていうその紹介ページがあるんですけれども、そこでトランザクションの30%が売り上げられている。
アファームのアプリから購入すれば、その商品が分割払いをオファーしてなくても、アファームが自動的に分割払いをOKとするというシステムになっています。これも非常に重要なポイント。
アフターペイ(スクエア:SQ)
それに対して、今回スクエアが買収するアフターペイは、比較的少額のその分割払いに特化しています。数万円からせいぜい10万円どまり。別の言い方をすれば、アフターペイは自分たちのことを「我々は銀行ではない」としており、信用供与がメインビジネスではなく、手頃なトランザクションを促進することが自分たちの数の仕事であると認識している。それはスクエアとの親和性が非常に高い。
その理由をいえば、スクエアという企業はもともと花屋さんとかアイスクリーム屋さんとか、そういうマーチャンツががクレジットカードをお客さんが提示した時にクレカを切って決済できるような決済端末から始まった会社だから。スモールビジネスとの付き合いが非常に重要。
そうした比較的小さなマーチャンツのペイメントを担当するとき、分割払いをオファーできるということがだんだん重要になってきているわけです。だから今回のスクエアによるアフターペイの買収は非常に相性がいいその組み合わせだと思います。
アフターペイの代表的なマーチャンツとして、ヨガパンツのルルレモンという会社やベッドバス&ビヨンドという会社など、全部で2万2万社のマーチャンツを抱えている。
アフターぺイもアプリを通じて、BNPLを実装している。リアル店舗ではBNPLを促進するボタンが実装できない。分割払いをしたいときはアプリを立ち上げ、そこからスキャンする方法でインストア支払もできる。このインストア支払は、将来、スクエアとアファームとのコンビネーションも非常に重要になってくると思う。
クラーナ
他のBNPL企業で、スウェーデンのクラーナもある。この会社はまだIPOをしていない。ロンドンでIPOするといわれているが、もしかするとNASDAQに上場するかもしれない。
この会社も、アプリ内ブラウザでどんな支払いでも対応できるShop Anywayというのをやっている。
アップリフト
アップリフトは旅行の支払い、航空券とかあるいはクルーズとか、旅行の予約っていうのは金額が大きくなるケースが多い。旅行関係の支払いだけに特化したBNPLをやっている。パートナーは、カーニバル、サウスウエストエアラインなどと業務提携している。
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