AIの次に注目されるテーマである「次世代原子力発電(SMR)」銘柄について、まとめてみました。
現時点ではハイリスクハイリターンかもしれませんが、次のチャンスに備えて、知識の空白を埋めておきたいと思います。
なぜAIの次に原子力発電銘柄が注目される?
近年、急速に発展しているAI。スマホやパソコンの中にも、AIが搭載されているものが増えそうですが、AIを動かすためのデータセンターは、膨大な量の電力を消費します。
そこで注目されているのが、原子力発電。
原子力発電は、安定して大量の電力を供給できるため、AIデータセンターの電力源として最適だと考えられています。
なぜ今、原子力発電が注目されているのか?
グーグル(GOOG)、アマゾン(AMZ)といった巨大IT企業が、次世代の原子力発電プロジェクトに投資を始めています。
これらの企業は、AIの開発を進める一方で、環境問題にも積極的に取り組んでおり、安定した電力の供給と環境負荷の低減を両立できる原子力発電が注目されているというわけです。
マイクロソフト(MSFT)も最近、データセンターの電力供給強化のため、原子力発電に対する大規模な投資を発表しました。
AIやクラウド技術の需要拡大に伴い、他のテック企業も安定的で持続可能なエネルギー源を求めていますが、こうした背景から原子力発電が重要視されているのです。
次世代原子力発電「SMR」について
原子力発電というと、大きな発電所をイメージしてしまいますが、最近では「小型モジュール炉(SMR)」と呼ばれる、より小型で建設しやすい原子炉の開発が進んでいます。
SMRは、従来の大型原子炉に比べて、
- 建設コストが安い
- 建設期間が短い
- 柔軟に設置できる
といったメリットがあるため、より多くの場所で活用できる可能性があります。
アメリカ政府も、「SMR」の開発を積極的に支援しています。2030年代までに、多くのSMRを稼働させることを目標としており、原子力発電を再び活性化させようとしています。
小型モジュール炉「SMR」の種類
小型モジュール炉(SMR)は、主に以下の3つのタイプに分類されます。
水冷却炉
従来の原子力発電所と同様に、水を冷却材として使用するタイプの炉です。加圧水型炉(PWR)や沸騰水型炉(BWR)などがこのカテゴリーに入ります。水冷却炉は、技術が確立されており、広く使用されています。
非水冷却炉:
冷却材に水を利用するのではなく、フッ化塩や二酸化炭素などの他の冷却材を使用する。大量の水を使用しないので、立地がよりカンタンにできるのが特徴。より高い熱効率や柔軟性を提供することが期待されています。
マイクロ炉
非常に小型の炉で、特定の用途や地域での電力供給を目的としています。マイクロ炉は、特にリモートエリアや小規模な需要に対して効率的なエネルギーソリューションを提供します。
SMR関連銘柄
SMRの開発が進むことで、関連する企業の株価が上昇する可能性があります。例えば、SMRを開発しているニュースケール・パワーやオクロといった企業は、注目を集めています。
ニュースケール・パワー(SMR)
2021年に上場されたアメリカ・オレゴン州に拠点を置く先進的な小型モジュール炉(SMR)技術の開発企業。ティッカーシンボルがSMRなので、小型原子炉開発の象徴的銘柄ともいえます。
アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)からの設計承認も取得しており、安全性と効率性の高いエネルギーソリューションとして期待されている。
ただし、IPOして間もないこと、赤字企業であることを踏まえると投機性が高い銘柄なので買うタイミングは慎重に考慮すべきだと思います。
今のところ、ストーリー一発銘柄です。
オクロ(OKLO)
アメリカ・カリフォルニア州サンタクララに本社を置く。高速増殖炉技術を利用した小型モジュール式原子炉(SMR)を開発しているアメリカのクリーンエネルギー企業。
送電網が整備されていない遠隔地での利用やディーゼル発電機の代替、地域暖房や水素製造など熱の利用も可能なマイクロ炉を開発。
2021年にSPAC上場を果たした。ChatGPTの生みの親、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、2015年からOKLOの取締役会会長を務めており、注目を集めています。
こちらも赤字企業であり、売上も計上されていません。株価ボラティリティーが非常に高く、ほぼ博打銘柄といって良いでしょう。十分にリスクを理解した上でトレードすべき銘柄です。
BWXテクノロジーズ(BWXT)
母体企業であるBabcock & Wilcox社から分社化。核関連の製品とサービスを提供する米国を拠点とする大手原子力機器メーカー。アメリカ・バージニア州のリンチバーグに本社を置いています。
米国政府との契約が多いのが特徴で、核燃料の設計・供給や核廃棄物管理といった環境管理サービスも行い、放射線管理が必要な商業および政府施設に対してメンテナンスを提供しているます。
小型モジュール炉(SMR)の開発や医療分野での同位元素活用など、技術革新を推進するための研究開発にも力を注いでおり、GEやニュースケール・パワーなどの企業とも連携している。
こちらは黒字企業であり、先述したニュースケール・パワーやオクロに比べるとリスクは低いと思います。
2023年の売上高は2.5Bで、営業CFマージンは12.9%。じっちゃまが進める営業CFマージン15〜35%が投資基準とするならば、若干物足りない気もします。
GEベルノバ(GEV)
GEの再生可能エネルギーや核エネルギー技術に特化。2024年にGEからスピンオフしています。
GE Hitachiとのパートナーシップを通じて小型モジュール炉(SMR)の開発に関与。BWRX-300と呼ばれるSMRの設計を進めています。このSMRは、低コストで迅速に展開可能な設計で、カナダ、アメリカ、ポーランドを含む複数の国で導入が計画されています。
ライトブリッジ(LTBR)
ライトブリッジ(ティッカーシンボル:LTBR)は、アメリカの企業で、特に小型モジュール炉(SMR)や従来型の原子炉向けに高度な核燃料技術を開発しています。
近年、SMR向けの燃料開発に注力する方針を打ち出し、アメリカ国内および国際的に増加しているSMRへの需要に対応しようとしています。また、アイダホ国立研究所と協力して製造技術を実証しており、脱炭素化に向けたSMRの導入を支える企業としての位置づけを目指しています。
ただこの銘柄もまだ赤字なので、ハイリスクハイリターン。
セントラス・エナジー(LEU)
セントラス・エナジー(ティッカーシンボル: LEU)は、核燃料供給とウラン濃縮サービスを提供するアメリカの企業で、原子力発電および次世代原子炉の燃料供給に大きな役割を果たしています。
主に商業用の低濃縮ウラン (LEU) を供給していますが、最近は高濃度低濃縮ウラン (HALEU) の製造にも注力。HALEUは小型モジュール炉(SMR)や他の先進原子炉の燃料として利用が期待されています。
同社は、米国エネルギー省(DOE)との契約に基づき、2023年末までにピケトン(オハイオ州)の施設でHALEU生産を開始する計画を進めており、これは現在アメリカで唯一のHALEU生産施設。また、将来的にはさらなる生産規模の拡大も視野に入れています。
このような取り組みから、同社はSMR開発を含む次世代原子力技術の燃料供給において重要なパートナーとして位置づけられています。
2024年11月現在、株価急騰でPERが21.73まで上がっていますが、ひょっとしたらまだ乗っていけるのかも…
Xエナジー(非上場)
Xエナジー(X-energy)は、小型モジュール式原子炉(SMR)の開発をリードする企業で、Amazonが出資する新興企業で注目されています。
主に「Xe-100」と呼ばれる高温ガス炉SMRの設計で注目されています。この技術は、既存の原子力と比べて安全性や効率性を向上させた次世代のSMRとして開発されています。Xe-100はモジュール式設計であり、工業用の高温蒸気や発電を提供できることから、産業界の脱炭素化にも貢献することが期待されています。
2023年、SPAC上場を目指していましたが、2024年11月現在、上場は実現されていません。
カイロス・パワー(非上場)
ウェスチングハウス(非上場)
アメリカを拠点とする大手の原子力機器メーカー。AP1000と呼ばれる原子炉の設計で知られており、この技術は多くの新しい原子力発電所の建設に利用されています。SMR(小型モジュール炉)の開発にも取り組んでおり、特にAP300という新しいSMRの設計に焦点を当てています。
まとめ
AIの発展に伴い、原子力発電が再び注目を集めています。特に、小型モジュール炉(SMR)は、その高い効率性と柔軟性から、今後の電力供給を支える重要な技術となることが期待されています。
しかし、SMRが実用化され、原子力発電が再生するためには、まだ多くの課題を克服する必要があります。特に、原子力発電に対する世論の不安や、核廃棄物の処理問題などは、今後も議論が続く課題です。
いかがでしょうか?今回の記事が、皆さんの投資の参考になれば幸いです
投資は自己責任で行いってくださいね。 今回の情報はあくまで参考であり、投資の最終決定はご自身で行ってください。
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