じっちゃま最後のセミナーとなりました。じっちゃまのyoutubeチャンネルからはOMUSUBI-ch時代まで、ずっとお世話になってきた身としては、実にさみしい限りです。
最終回セミナーでは、今までの経験則から得た教訓をお話されていました。まさに、じっちゃまの集大成ともいうべき、とても、とても、価値ある内容。敬意を込めて、ここにまとめておきたいと思います。
良い投資家になるための必要条件
1. 良い決算の会社を買いなさい
良い決算とは、EPS、売上高、ガイダンスのすべてが、事前コンセンサス予想をクリアすることです。これらの数値にひとつでも取りこぼしがあると、良い決算ではありません。
良い決算が出ると、株価がポーンと跳ね上がるがほとんどの場合、損をしません。
逆に、悪い決算が出て株価がズドンと下がった場合、その会社の株を持ち続けるのは御法度です。すぐに売りましょう。
その理由は、機関投資家の振る舞い。良い決算が出た場合、1日で買い終わらない。悪い決算が出た場合、1日では売り終わらない。
どんなに自分が好きな銘柄であっても、ちゃんとした決算を出せない会社の株を買うのは良くありません。
2. 分散投資を心がけろ
株価指数ETFを買えば、一発で分散投資ができます。
たとえばS&P500を買えば、500銘柄に投資したのと同じ効果が得られます。
3. 過去最高値更新がチャンス
株価が新高値になると証券界では「新波動入りした」と表現します。
新値はその株に新しい評価が生まれた瞬間であり、売り圧力が軽くなるということ。
新高値を更新した時に、そうした銘柄を売ってしまうのは非常にもったいないこと。こういうときはその銘柄から降りないようにしましょう。
4. 金利に注意を払え
金利と株式バリエーションはシーソーの関係にあります。一方が上昇すると他方が下がるのです。
株を買うのであれば、無リスク証券(債券金利(10年債))よりもリターンが得られることが確信出来なければならない。
つまり、市中金利はハードルの高さを表しているといえる。市中金利が上がるということは、投資行動のハードルが上がるということ。
良い投資家は、市中金利が高いときに株を買いません。
TradingViewでチェックするときは「US10Y」で検索。
5. 営業キャッシュフローに注目せよ
営業キャッシュフロー(営業CF)は、営業利益とは違います。
営業利益は経費などを差し引いた結果になりますが、営業CFは現金の動き。この違いの意味は、その企業の支払能力を表しています。
営業利益は意図的に粉飾・操作できる余地があります。一方、営業CFは、粉飾・操作できないので、ごまかせんません。
そのため、営業利益よりも営業CFが小さいケースが出てくる。こういう場合、ほとんどが決算書が嘘をついている。
だから、営業利益よりも営業CFが大きい方が良い。
過去3年にわたり、EPS、一株当たり営業CF、売上高が毎年増えている会社が良い。一株当たり営業CFは必ずEPSより大きくあるべきです。
さらに、営業キャッシュフロー(営業CF)マージンは、15%以上ある銘柄が良い。
楽勝で利益が出せる営業CFマージンがこの数字になります。
6. 新天地を目指す勇気を持て
ブームになる期間は最長で5年(ドットコムバブル)。
ひとつのテーマが大きく開花した後は、
ぺんぺん草も生えない荒涼とした相場が続きます。
ブームには必ず終わりがある。永遠に続いたことは一回もない。
賞味期間が終わったテーマやマーケットを捨て、新しいものに取り組みなさい。
ラッキになれる場所に移動したほうがいい。
いままで勉強してきた知識が無駄になってしまうが、どれだけ勉強したとしても相場は聞く耳をもっていない。
mRNAワクチン相場もそうだった。どれだけワクチンの勉強をしても、そうした知識にこだわっていても、ワクチンブームが終わったら、相場は終わり。
積み上げてきた知識や努力を捨てられるかどうかは、すごく大事。
7. アノマリーを軽視するな
アノマリーとは、過去の実績に基づく法則性にほかならない。
それが投資理論でうまく説明できないからといって、確実に存在する法則性を無視するのは傲慢な態度です。
典型的な例として、米国株は11月、12月、1月はだいたいパフォーマンスが良い。
他に、3月末から4月15日ぐらいにかけて、米国株で儲からないケースが多い。確定申告の期日が関係しているのかもしれない(納税のために現金を持っておかなければならない)。
こうしたアノマリーには逆らわないほうがいいと思います。
8. 周囲を観察しろ
相場が荒れた局面では、沈着冷静になりなさい。
逆に、みんながビビってて、相場に手を出しにくくなっているときは、買い場です。
自分の思い込みに固執せず、まず状況が変化したか事実を集めて判断すること。自分の心情ではなく、データが変わったときに踏ん切りをつけること。
周囲を観察し、皆が怖がっているときは大胆に、逆に皆が得意満面のときはそろりと足抜きを考えること。
日経新聞の日曜版に投資に関する広告が出ていたら、マーケットは売りです。
懐疑の中で育ち、
楽観の中で成熟し、
幸福感の中で、消えていく。
サー・ジョン・テンプルトン(Sir John Templeton)
9. 知識の空白は自分で埋めろ
投資は複雑系の専門分野である。
その知的挑戦を愛せない者は良い投資家になれない。
自分のチカラを過信せず、自分の知らないことを畏れ、謙虚であれ。
知識の空白は自分が勉強することで埋めろ。
そして知識が完成したときは相場的には売りだ。
投資で一番儲かるときというのは、何かを発見したとき。
逆に言えば、誰もしれない知識の空白を埋めるということ。
相場は、知ったらおしまい。
知識の完成を畏れてください。
人並みのパフォーマンスを求めるならば、VTI一択でも良い。
しかし、それは投資で身を立てる専門家のやることではない。
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